一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃ABOUT FARES
(令和2年国土交通省告示 第575号)
1.距離制運賃表
2.時間制運賃表
3.運賃割増率
【特殊車両割増】
冷蔵車・冷凍車…2割
【休日割増】
日曜祝祭日に運送した距離に限る…2割
【深夜・早朝割増】
午後10時から午前5時までに運送した距離…2割
4.待機時間料
小型車(2トンクラス) | 中型車(4トンクラス) | 大型車(10トンクラス) | トレーラー(20トンクラス) | |
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30分を超える場合において 30分までごとに発生する金額 |
1,670円 | 1,750円 | 1,870円 | 2,220円 |
5.積込料、取卸料、附帯業務料
積み込み、取り卸しその他附帯業務を行った場合には、運賃とは別に料金として収受
6.実費
有料道路利用料、フェリー利用料その他の費用が発生した場合には、運賃とは別に実費として収受
7.燃料サーチャージ
別に定めるところにより収受
8.その他
この告示に定めるもののほか、この告示の施行に関し必要な事項は、別にある。
標準的な運賃の設定に当たって想定している具体的な適用方法
標準的な運賃は、一般貨物自動車運送事業者が一般的なバン型車両を貸し切って運送する場合を念頭に、距離制運賃表および時間制運賃表の2種類の運賃表を設定している。個々の運送についていずれの運賃表を適用するかについては、運送する貨物の種類、量、距離、交通事情および運送に付帯する荷役作業等の諸条件を勘案し、荷主との契約の中で決定することとなる。(※)。
※一般的には距離制運賃表が使用される場合が多いが、時間制運賃表が適用される代表的な場合としては、例えば、
①走行キロは短いが、車両を時間的に拘束される場合、
②大都市の交通渋滞等によって運行効率が著しく低下する場合、
③短距離を反復してピストン輸送する場合等が考えられる。
また、標準的な運賃は、人件費や物価等の地域差を考慮し、下表のとおり各地方運輸局の管轄区域ごとに10ブロック別の運賃を設定している。
運送事業者においては、運送を行う車両が配置されている営業所の所在地を管轄する各地方運輸局のブロックの運賃を参考に運賃を設定することとなる。
運輸局 | 管轄する都道府県 |
---|---|
北海道 | 北海道 |
東北 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
関東 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県 |
北陸信越 | 新潟県、富山県、石川県、長野県 |
中部 | 福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
近畿 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 |
中国 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
四国 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
九州 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県 |
沖縄 | 沖縄県 |
(距離制運賃)
距離制運賃表における運送キロ程の計算は、1車1回の運送で、発地で貨物を車両に積み込んでから、着地で車両から貨物を取り卸すまでのキロ程(貨物を積載して実施に走行したキロ程)による。従って、事業者の営業所(車庫)から荷主より指定された積み込み場所までの往路空車回送空間および取卸場所から復路空車回送区間のキロ程は運送キロ程の対象とならない。
なお、運送の途中において、貨物の一部を積み卸した場合は最初に積み込みを行った場所から、最後に取り卸しを完了した場所までの実車キロ程によることとする。
(時間制運賃表)
時間制運賃表における走行キロおよび作業時間の計算は、使用車両が荷主の指定した場所に到達した時からその作業が終了して車庫に帰着するまでについて行う。
なお、4時間制の場合であって、午前から午後にわたる場合は、労働の実態、車両の使用効率からみて、以後の車両の使用が保証されないことを踏まえ、正午から起算した時間により加算額を計算することとしている。
一般貨物自動車運送事業において使用される車両については、運送を行う品目や運行の形態等に応じてさまざまなものが存在し、車両によって原価構造が異なる場合がある。
標準的な運賃においては一般的なバン型車両を念頭に運賃表を設計しているが、同様の構造の冷蔵・冷凍車を使用する場合については原価調査の結果に基づき割増率(2割)を設定している。
当該冷蔵・冷凍車割増を適用する場面としては、生鮮食品等の貨物を冷蔵・冷凍機能を活用して運送する場面等を想定している。
また、これ以外の特殊な車両を使用する場合については、上記の計算方法も参考にしつつ、別途原価計算を行うことが望ましい。
標準的な運賃においては、休日割増として、人件費構成比および法定割増率を参考に割増率(2割)を設定した。
当該割増率を適用する基準運賃額は、日曜祝祭日の0時から24時の間に運送した距離に対応した運賃額となる。
標準的な運賃においては、深夜・早朝割増として、人件費構成比および法定割増率を参考に割増率(2割)を設定した。
当該割増率を適用する基準運賃額は、午後10時から午前5時の間に運送した距離に対応した運賃額となる。
待機時間料の設定の考え方は1.(3)③のとおり。実際の待機時間料の算定は、荷主との間で定められた場所および時間に車両が到着してから、荷主側の責によって30分を超えて待機した場合において30分までごとに発生した待機時間に応じた料金を収受する。運送事業者側が約束の時間前に車両を到着させるような場合は荷主側の責によらないものであることから、待機時間料の算定の対象外となる。
なお、時間制運賃表の適用時における待機時間料については、原則として、基礎作業時間に係る基礎額および基礎作業時間を超えた場合の加算額において収受することを想定している。
また、あらかじめ距離制運賃表を適用することとしていた運送において、予期せぬ渋滞等により運行が長期化し、追加的人件費等の費用が生じるような場合については、原則として待機時間料の対象とはならないものであるが、荷主との合意を前提に、待機時間料に準じて追加的に料金を収受することや、事後的に時間制運賃表により精算を行うこと等を妨げるものではない。
標準的な運賃は、運送の役務に係る原価を前提として計算していることから、運送以外の役務として別途積み込み、取り卸しその他荷造り、仕分け、検収・検品等の附帯業務を行った場合には、運賃とは別にこれらに係る料金を収受する必要がある。
積込み、取り卸しその他附帯業務に係る具体的な料金については、その作業・業務の内容に応じて要するコストがさまざまであるため、運送事業者において、適切に設定を行う必要がある。
具体の設定方法の例としては、上記待機時間料の設定も参考に、一定の人件費を基準として、作業の内容に応じて付加的に要する費用等を加味する手法等が考えられる。
有料道路利用料、フェリー利用料等については、運賃とは別に実費として収受することとしている。
なお、旅費(運転者の宿泊費)のうち通常想定される平均的な額については、標準的な運賃の設定に当たって間接費額の計算の一環として原価に算入している。
ただし、宿泊を伴う長距離運行が恒常的に発生する場合等、標準的な程度を超えて旅費が発生する場合においては、これを超える部分を実費として収受することは差し支えない。
告示Ⅶに規定する燃料サーチャージについては、別添のとおりとする。
標準的な運賃の設定に係る原価計算においては、燃料費を100円として算出していることから、燃料サーチャージの基準価格も100円として設定している。
各運送事業者が燃料サーチャージを導入する際は、「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」(平成24年5月16日最終改定)も参考にしつつ、当該運送事業者が自社の運賃の設定に係る原価計算において基準とした燃料費を燃料サーチャージの基準価格として設定することが望ましい。
標準的な運賃の設定に当たって想定している主な適用方法は上記のとおりであるが、従来の商慣習上、運送に一定の資格や措置を要する場合等、個々の運送の実情によるコストの変動に応じて、上記に含まれない運賃計算方法の特例や、各種割増(*)割引等が行われる場合がある。運送事業者においては、自ら行う運送の実態等に応じて適切な運賃表の適用方法を設定する必要がある。
*例:品目割増、特大品割増、冬期割増、悪路割増等
福塚運送による補足説明
タンクローリーの場合、品質基準が厳格で、商品ごとの互換性がないことから、本来タンクローリー輸送は専属契約による車両固定が望ましいと考えています。
しかしながら、車両費用も維持費も高額であり、かなりの輸送量がないと単一商品で専属車を存続させることは困難です。今まではタンクローリー輸送業界の大半のスポット運行車両は、運送会社の自社努力で、同等品種内で洗浄して一台の稼働率を上げることによって維持し、専属契約がない状態の輸送を可能にしてきましたが、過去の運賃レートを踏襲しており、不採算な輸送が多いのが現実です。
旧来からの運賃基準では輸送能力・品質・安全性を維持するのは限界点に達しています。まして今後想定される法令改正や人材確保には到底追い付いていない状況で、今後具体的な問題として表面化してくることを想定しています。とりわけ、2024年問題は目前に迫り、現在の状況を改善できなければ、業界全体の輸送能力が減退することは避けられない状況となっています。国交省の示した「標準的な運賃」は重要な目安として運送業界のみならず、ご利用者さまにもご承知いただくことは安定的な輸送の確立に大きな意味がございます。
弊社は長年原価計算を徹底し、独自の運賃基準を設けてきましたが、国交省より公示されたこの標準的な運賃は弊社の運賃基準に近い金額を示しておりましたので当社ホームページに参考として掲載いたしました。
現実的には商品特性や作業基準によって、運行の可否が決定し、さらに標準的な運賃に加えて別途必要な費用はございますが単純な輸送部分の運賃としては妥当なものと考えております。
タンクローリー輸送費用の標準運賃を使った算出方法
距離程運賃×特殊車両割増 + 高速代(往復) + 荷積・取卸料 (弊社届出 標準的な作業で各8,000円)
・商品により洗浄料・洗浄滞車費用・前後前荷制約費用・作業の特殊性による追加費用等を計算します。
・積地が拠点から離れている場合は別途回送費が発生します。
・特殊車両割増について国交省は冷凍・冷蔵で2割増しとしていますが、タンクローリーは車両価格・メンテナンス費用・片道運行・輸送量の不安等の諸条件を勘案して3~4割増が妥当と弊社は考えます。
・実運賃については都度お見積もりさせていただきますのでまずはご相談ください。